書店の本棚が気になる
とはいっても、棚の選書内容ではなくて棚自身です。材質や組み上げの方法、配置場所、金具の種類などを注視してしまいます。
ということで、今日の日記は「本棚」です。
本棚研究家には程遠いですが、これから暫くは本棚見学が続きそう。
では早速、本棚の派閥を検証していきます。まずは分かりやすいように棚の関係性を図にしてみます。題して・・
本棚国会相関図
本棚国会は大きく分けると、「木製」と「金属製」という二つの議会があるように思います。
そして、木の棚といっても色々あるわけで、木そのものつまり「無垢材」で棚をこしらえた無垢材党。
もう一方は木っ端や新建材など擬似的な木で作った集成材党という二大政党が存在します。
この集成材党は書店でもかなりの巨大派閥です。その理由は無垢材よりも反りが少なく、本棚に向いているというのが理由でしょうか。それとも単に価格や整形のしやすさなのか・・
無垢材党
無垢材党をさらに検証していくと、「箱派」と「平板派」が登場します。
箱派は文字どうり「箱」を重ねて本棚を形成していく派閥です。箱の四角サイズに合わせて均一に積み上げたり、敢えてずらしながら重ねる方法などもあります。
箱派の中にも果物や葡萄酒の木箱を利用した「果物会」と、自分たちで木材を組み合わせて箱を製作する「自作会」があります。
果物会も昔はリンゴ箱や蜜柑箱などといった地域や時代性があり、土地柄によっていくつかの種別があった模様です。
箱による本棚を良しとせず、棚は板だ!という派閥があります。これが「平板派」です。
中でも無垢材党平板派は板状に加工した木材で本棚を作ることを至上としており、根強い指示を得ています。平板派は棚作りの工法として組み木会と棚受け会の二つに別れていますが、どちらもお互いに尊敬を持ちあっているように思われます。
無垢材党平板派
組み木会は本棚国会の中でも古くからある会で、無垢の木を昔ながらの工法で組み本棚を形成します。特別な書店でなくても古い商店街の古書店などでは今だにこの本棚を残すところも散見されます。創業時に造り付けで大工さんに作らせた棚も多いのではないでしょうか。作られた年代や木材の選び方により、「古材部」「新材部」とありますが、考え方に大きな差異はみられません。
一方で「平板派棚受け会」はシンプルに板を棚受けで壁へ留めるというのが最大の特色です。この方式はカフェや古道具店、雑貨店でも見受けます。
古い上質な無垢板をアンティークの金具で留める一門は見せ方にこだわり、頑丈だけが取り柄の近代金具を使用する一門は単に取り付けが簡単なことが政策となっているようです。
金属棚議員
さて、もう一方の議会である「金属棚議員」はどうでしょうか。
こちらの二大政党は「本棚専用党」と「流用党」です。
専用党は当初から本専用に製造された棚を使用しますが、事務的な作りで合理性を売りにする派閥と、変則的な形や赤色など目立った形状を多用するアートよりの派閥があるようです。
細かく選び抜いた棚を海外から取り寄せる「国際会」と、よりこだわりのある棚を溶接などで自ら仕上げる「組み立て会」がアート派にはいます。
一方で「流用党」は既存の本棚という概念には囚われず、様々な建材などから棚に使えるものを引っ張ってきます。建築現場の足場材や鉄パイプなどをそのまま使用するのは足場派。
より審美眼的棚作成に力をいれるのが、聖ポール派(セイントポール派)です。彼らは同じ鉄パイプでも色を塗ったり装飾を施したりすることで建築材料の無骨なイメージを払拭するよう日々努めています。自ら汚れた建材を選びながらもその個性を消すという修行のような厳しい試練。この苦行に耐える精神力が聖職者的派閥を支える原動力ともいえるでしょう。
以上、大まかな本棚国会の構成を駆け足で鳥瞰してみました。
他にもガラス党やリトルプレス、ZINEに特化した薄い棚派、平台党などもありますが今日は一旦このあたりで失礼致したいと思います。
本棚政界には内角問題や高所問題など検証すべき点がまだまだ山積みです。まずはご自分の街の書店政党から確認してみてはいかがでしょうか。