風呂も浴びた。日中は出かける気の起きない暑さで半日椅子に座っていた。今さっき涼しくなってきた十六時十八分にシャワーを浴びる覚悟をした。二分後に扉を開けて蛇口を捻ってぬるま湯をかけた。それから出て、扇風機と網戸越しの窓辺に立ち、でかけようかと考えている。
日陰で、西から気持ちの良い風が吹いている。時折原付スクーターが通るくらいで静かな住宅街。電車に乗ってお茶でもしに行こうか。それともお酒か。
カーテンが風に押され引かれしている。網戸に張り付きしばらくそのまま。それからピヤーっと逆へ流れる。どうしようか。今日はツイッターが不調らしいし、特にやるべきこともやりたいことも思い浮かばない人生で何十回何百回目の午後十六時四十二分。
風が気持ちいい。このまま気絶しても幸せなくらい気持ちいい。電車がエアーだかガスだかを抜く音が遠くでしている。誰か老人が早めに雨戸代わりのシャッターを閉めた音が響く。さようなら、おやすみなさい。濡れた髪に風が当たる。
ズボンとTシャツは着ている。あとは靴下を履けば出かけられないこともない十六時四十六分。そうだ、コーヒーフィルターを買いに行くという口実もある。とはいえまだ余裕がるのを自分自身が知っている。誰かに頼まれれば今すぐにでもコーヒーフィルターを買うついでに出かけてお茶をすするだろう。はい、わたし行きまっす。と、良い返事で。
お財布に小銭がどれくらい入っているか確かめてみようか、もし五百円玉が一枚でもあれば出かけることにして、なければ家にこのままいよう。もし百円が五枚あった場合はどうしようか。千円札は何枚か入っているのを覚えている。でもPASMOのチャージが切れかかっているような記憶がある。三百八十円くらいしか入ってないんじゃないか。でもPASMOは出かけなきゃ残高がわからないと考える十六時五十一分。
ざっ、、ざざざっ、
立ち上がってみる。パソコンを離れて棚に近づき財布のチャックをえいやと開ける。あ、ない百五十三円しかない。でもその下に棚の小物入れの中にジップロックの中にいつだか使ったお釣り銭の残りの小銭が入っているのが目にとまる。ラッキー。袋を開け五百円玉を二枚取り出し財布へ移す。誰かが近所で水を撒いてる音がする。花に植木に草に壁に。
ジャワジャワじゃわ、ビシビシびしーー
カラスが屋上を超えて飛んでいく。鳴きながら。
取り急ぎ靴下だけは履いてみます。
それでは。また。十七時六分。
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