準備と準備と無準備

出先で雨に降られるということはよくあることだと思います。私、寒がりでして、カバンに薄い10gもないようなナイロンの上着をいつでも潜ませています。腰に肉がなさすぎて骨が冷えるんですよ。そういう時にこの10gのナイロンジャケットを鞄の底から取り出して着ると助かります。そもそも10gなので、鞄に入れても入れなくても同じようなものなので一年中入れてます。カメラも入れておくことが多いので、衝撃吸収にもなります。

先日、雨が降ってきたのです。出先で。それで10gの相棒を鞄から取り出して羽織りました。そのまま歩いていると細かい雨粒がだんだんと全身を覆ってくるわけです。そこで時折ジャケットの袖とか胸あたりを指で摘んで、ぱしゃぱしゃぱしゃっと水を弾くように引っ張ります。そうすると、水気が飛んで、大して防水能力の強くないこの10gの相棒がこの先の道程も活躍してくれそうな気がします。

この作業を時折繰り返しつつ雨の街を歩いていると、そういえば鳥が翼をバタバタさせて水を飛ばしている姿に似ているなと思いました。

あなたは空を飛ぶものが好きでしょうか。何が一番好きですか?コンコルドですか、風船ですか、それともホームランボールですか?
私は蝶が一番好きです。気が狂ったように舞うから。全く理解できません。瞬間移動みたいに。多動性の少年どころではないのです。ぜひ一度みなさんも真似してみてください。

ではまた。

これくらいがちょうど

上の写真は用水路の土手にある植物です。ニンニクみたいな花の咲き方するものだと思いますが名前は分かりません。若干紫色の部分に水が流れています。
今は2023年の6月頭で、清々しい天気です。外は晴れて日光の下は暖かく陰にいると風が涼しく感じる。ちょうど良い天候。

以前、スペインのバルセロナという街に一週間くらい滞在したことがあります。そこで感じた気候の良さに近いかも。バルセロナは日向がもっと暑かったけれど、湿気が少ないためか日陰に入ると温度が嘘のように変わり、火照った体を一気に冷ましてくれる。そこで飲むビールのうまさったら。

バルセロナという街を訪れるまでは、着いたら現地の地ワインをたらふく飲むものだと想像していました。全然違った。ワインを飲む気が起きないくらいビールに合うの気候が。ビール最高、昼からビールな土地。
イタリアの方がまだワインだった。確かにピッツァとかを食べる時は間違いなくビール(orコーラor炭酸水)なんだけど、そこまでビール最高な気分になったことはなかった。いや、訪れる時期の問題かもしれない。自分の知っているイタリアは1月から5月までのイタリアで、真夏のイタリアは知らないし、大晦日も知らない。
いやむしろ逆にスペインなんて一週間と数日分しか知らない。冬も秋も知らないどころか雨も1日分しか知らない。きっとビールなんて全く口にしたくない日々が彼の地にもあるのだろう。
つまり、6月初頭の今日、スカッと晴れた日本の神奈川県、日曜日の真っ昼間に屋外で飲むビールは最高なのではないか?ということなんです。

ところがですよ。わたくし、今ね、麦やめているんです。体調との兼ね合いでですね、グルテンさんを含む麦やなんやかんやをやめております。そんな生活が六ヶ月以上経過したわけです。ビールが飲めない、パン屋さんに行けないことなどは若干悲しいのですが、体調が相当上向きました。
皮膚の患いが目覚ましく改善したのと、腸の調子が人生で一番良い。びっくりするくらい良好です。子供の時から腹が弱くて、何かにつけて苦しんでいたのです。公衆便所の場所を常にチェックしておくくらいお腹が弱かった。一時間もトイレに篭りっきりになったこともなん度もありました。ところが、この半年、便通が、腹が、門が、苦しくない。こんなことは人生でありませんでした。ベンベンベンがすこぶるすんなりとお出になってくださる。快適極まりなく門をくぐってさようなら。水に流れてありがとう。
皆さんこんなに快適に人生の糞便を過ごしていたんですか?ずるい、と感じるくらい楽になりました。これなら通学の電車で冷や汗をかきながら、目眩を起こしながら通わなくて済んだだろうし、テストや教習所を途中で投げ出してトイレでもんどり打つこともなかったのに。

さて、この話はこれ以上深掘りしてもアレなんで、この辺で今日はやめます。
今は知人に「仮病?」って言われるくらい回復しました。よかったです。
いつかもう一度こんな清々しい日にバルセロナの幸せ広場でビールを飲みたいと思います。三崎港の堤防で炭酸水でも良いですし。




ひらいたら終わり?

アーティチョーク

アーティチョーク日本名朝鮮アザミ

蕾が開いていますね。食用にするなら閉じた状態のを買うものです。これは三浦の畑道に放置されている株です。収穫するわけでもなく、伐採するわけでもなく毎年ここで花を咲かせたままにしている農家さんがいる。

アーティチョークは食べると言ってもこの三角のふさの一つ一つの根本を前歯でこそげ落とすだとか、煮るだとか、オムレツにするだとかなんだけど、大きさに対して食べる部分の少ない食物。レモン汁につけるとか手間はかかる。

蕾はこの後にもっともっと開いていって、最終的に紫のトゲトゲしたおっかない花を咲かせる。葉っぱとかも棘があっていかめしい。目を楽しませる植物としては結構好きな部類に入る。庭に植えてもいいかなと思う。葉っぱが豪勢だから邪魔かなとも思うけど。



昔、喫茶店の店主がお客さんにもらったアーティチョークを店内に生花として飾っていた。繁々眺めていると、「持ってく?」と言って帰りに持たせてくれた。拳よりも大きなそれを自分の店に持って帰りカウンターの上に置いておいた。紫がトゲトゲしたタワシみたいな花だった。
そのお店の主人は結構ピリッとした人だったのだけど、この数年で棘の先端がまぁるくなった。年齢なのかもしれないけれど、もしかしたら棘の先に何かを被せて覆っているだけかもしれない。


店主はりんごを五個持たせてくれたこともある。その時は鞄がなかったのでズボンの左右のポケットに一つずつ、ジャケットの左右に一つずつ入れた。異様に膨らんだポケットを連れ、最後の一個を手に握って街を抜け家に帰った。


食用としてのアーティチョークは蕾が開いたら終わりだけど、続きはある。咲いて枯れて、人を寄せ付けたり遠ざけたりしながら小さな思い出の一片として畑道に座っている。